PCBとは

正式な名称は、ポリ塩化ビニフェル(polychlorinated biphenyl)という化合物です。
略してPCBと呼ばれます。

1881年にドイツで初めて合成され、1929年に米国で工業生産が始まりました。
日本では、1954年(昭和29年)に製造が始まったが、1968年(昭和43年)に起こった「カネミ油症事件」をきっかけに、1972年(昭和47年)の生産・使用の中止等となり、1975年(昭和50年)に製造および輸入が原則禁止されました。

熱に対しての安定性が良いため主に電気機器の絶縁油、工業製品の加熱・冷却用の熱媒体、感圧複写紙などさまざまな用途に使われていました。
現在は新たに製造することは法律で禁止されており、収集運搬には「特別管理産業廃棄物収集運搬業許可」が必要です。

主な用途

絶縁油
トランス用(ビル・病院・鉄道車両・船舶等のトランス)
コンデンサ用(蛍光灯の安定器・白黒テレビ・電子レンジ等の家電用コンデンサ・直流用コンデンサ・蓄電用コンデンサ)
熱媒体(加熱用、冷却用)
各種科学工業・食品工業・合成樹脂工業等の所工事における加熱と冷却・船舶の燃料油予熱、集中暖房、パネルヒーター
潤滑油
高温用潤滑油、油圧オイル、真空ポンプ油、切削油、極圧添加剤
可塑剤
絶縁用(電線の被覆・絶縁テープ)
難燃用(ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂)
その他(ニス、ワックス・アスファルトに混合)
感圧複写紙、塗料・印刷インキ
ノンカーボン紙(溶媒)、電子式複写紙、印刷インキ、難燃性塗料、耐食性塗料、耐薬品性塗料、耐水性塗料
その他
紙等のコーティング、自動車のシーラント、陶器ガラス器の彩色、農薬の効力延長剤、石油添加剤

PCBの性質

水にきわめて溶けにくく沸点が高い、主に油状の物質です。
熱で分解しにくいので、不燃性、電気絶縁性が高いなど科学的な安定性があることから、電気製品の絶縁油に始まり熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙などさまざまな用途に使われました。

PCBは209の異性体があり、なかでもコプラナーPCBと呼ばれるPCBの毒性がきわめて強く、ダイオキシン類として総称されるものの一つとされています。

PCBの毒性

脂肪に溶けやすいという性質から、慢性的な摂取により体内に蓄積していきさまざまな症状を引き起こします。
昭和43年に食用油の製造過程において熱媒体として使用されたPCBが混入し、健康被害を発生させたカネミ油症事件によって、ひろく知られることになりました。
PCBによる中毒症状としては、目やに、爪や口腔粘膜の色素沈着、塩素ニキビ・爪の変形、まぶたや関節の腫れなどが報告されています。